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技術系のこと書きます。

エンタープライズ向けヘリウム充填 HDD が安く手に入ることがあるらしい

この製品は、一昨年あたりから「HDD ガチャ」や「HDD おみくじ」といった愛称で親しまれているようだ。 今回は、Amazon セールで安くなっていたので実際にガチャを引いてみることにした。 このエントリは、その備忘録になる。

HDD ガチャ / HDD おみくじとは

Western Digital (WD) が販売している外付けハードディスク Elements Desktop シリーズの大容量モデル (8TB~) のこと。

この製品がガチャやおみくじと呼ばれている理由は、8TB に関して内部の HDD に複数のモデルが使われているところらしい。 具体的には、次の 2 種類がこれまでに確認されている。

  • WD80EMAZ-00WJTA0
    • Ultrastar DC HC510 の廉価版というウワサ
      • 回転速度は 7200rpm ではなく 5400rpm
    • ヘリウム充填モデル
  • WD80EMAZ-00M9AA0
    • Ultrastar DC HC320 の廉価版というウワサ
      • 回転速度は 7200rpm ではなく 5400rpm

Ultrastar DC HC シリーズは、Western Digital に買収された HGST が製造しているエンタープライズ向けの製品になる。 つまり、ウワサが本当であれば、この製品はコンシューマ向けにもかかわらず、内部にはエンタープライズ向けの HDD (の廉価版) が使われていることになる。 ようするに、企業のデータセンターの中でサーバに使うような高信頼モデル 1 ということ。

ガチャでいう「当たり」は HC510 の廉価版であるヘリウム充填モデルになる。 しかも、ウワサによると昨年あたりからの出荷分はすべて中身が「当たり」のヘリウム充填モデルになっているらしい。 また、10TB 以上に関してはヘリウム充填モデルしか確認されておらず、すべて「当たり」といえる。

そして、ガチャが楽しまれている理由は、使われている内部の HDD の珍しさからというわけではない。 何なら Ultrastar DC HC も、お金さえ出せば買うことができる 2 。 その主な理由は値段で、今回 Amazon のセールでは 8TB のモデルが約 1.7 万円になっていた。 また、セールでなくても約 2 万円で買うことができる。 そして、同じ容量だとコンシューマ向け NAS 用途の WD Red シリーズで約 2.5 万円する。

とはいえ、内部で使われているハードディスクは製品の仕様になっているわけではない。 ある時から異なるモデルが使われることも十分に考えられるため、実際のところは買ってみないとわからない。 そうした意味では、ガチャ要素はいまだ健在といえるだろう。

ガチャを引いてみた

そんなわけで、前置きが長くなったけど今回はガチャを引いてみた。

以下が届いた製品のパッケージで、至ってシンプル。

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製品のパッケージ

付属品は本体・電源アダプタ・USB ケーブルの 3 つ。

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製品の付属品

付属の USB ケーブルでつないで CrystalDiskInfo を確認した画面が次のとおり。 この型番は、ガチャでいう「当たり」のヘリウム充填モデルだ。

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CrystalDiskInfo

せっかくなので中身の HDD も確認してみよう。 筐体のカバーはツメで固定されているので、使っていないカードなどを差し込んでツメを外していく。

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隙間にカードなどを差し込んでツメを外す

開封すると、こんな感じ。 たしかに、ヘリウム充填モデルの筐体だ。

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中身の 3.5 インチハードディスク

注意点

この製品は、単なる USB 接続の外付けハードディスクとして使う分には何の懸念もない。 ただ単にエンタープライズ向けの製品が安く手に入るというだけ。 しかし、中のハードディスクを取り出して SATA で使うとき (殻割り) には、いくつかの注意点がある。

3.3V 問題

この製品は、通称 3.3V 問題と呼ばれる相性の問題がある。 そのため、使うマザーボードによっては別途ペリフェラル4ピン電源変換ケーブルを必要とする。

製品保証外になる

この製品には購入時から 2 年間の保証がついているけど、殻割りして使う分には当然ながら保証の対象外になる。 一般的な HDD は購入時に保証がついているので、その点は割り引いて考える必要があるはず。

(2020-04-18 追記)

その後、殻割りして自宅の NAS (Synology DS218+) のストレージになった。

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殻割り

(2020-07-08 追記)

少し前のセールから、以下のようなレビューが報告されている。

  • ヘリウム非充填モデル (WD80EMAZ-00M9AA0) がまた含まれるようになった
  • ヘリウム充填モデルの型番が WD80EMAZ-00WJTA0 から WD80EZAZ-11TDBA0 に変わった
    • ただし R/N は US7SAL080 で変更なし

参考

henjinkutsu.com

nyanshiba.hatenablog.com


  1. ただし、データセンター向けの製品が常に優れているというわけではない。騒音や発熱が大きかったり、動作温度領域が狭かったりと、家庭では扱いにくいこともある。

  2. 5 万円くらいする。