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Lenovo ThinkPad E595 を買ってメモリとストレージを交換してみた

我が家には、10 年前に購入した、OS が Windows 7 のノートパソコンが 1 台あった。 活躍する機会はさほど多くないものの、EOL を迎える製品を使い続けるリスクを考えて、以前からリプレースの機会をうかがっていた 1。 今回は、その買いかえに関する備忘録について書いてみる。

もくじ

次の機種に求められる要件について

まず、購入するからには長く使いたい。 そのため、ハードウェアの要件については次のように定めた。

  • CPU は 4 コア以上
  • メモリは 8GB 以上
  • ストレージは SSD で 256GB 以上
  • ディスプレイの解像度はフル HD 以上

また、互換性を考えて純正の Microsoft Office が使いたい。 できれば、バンドル版が安く提供されていると嬉しかった。

ただ、バンドル版か否かに関わらず、Microsoft Office の購入費用を加えて上記のスペックを満たしたものとなると、大抵の製品は 10 万円をこえる。 これだと、あまりお値打ち感はない。 そうした中で、なかなか機種が選定できずにいたものの、あるとき次の機種が目にとまった。

kakaku.com

これは、コストパフォーマンスを重視した ThinkPad の E シリーズで、15 インチのディスプレイを持ったモデル。 これをカスタマイズして、ハードウェアを最小構成 2 にした上で Microsoft Office をバンドルすると、5.7 万円で買えることがわかった 3

で、ここからが本題なんだけど、このモデルはメモリやストレージがオンボードになっていない。 また、公式通販でもさまざまな組み合わせでカスタマイズできるとおり、パーツの相性が特に厳しいということもないようだ。 そのため、Web を調べると、メモリやストレージを交換して使っている人が割と見つかる。 なるほど、であればこれに自分でパーツを入れかえて使えば安くあがるのでは?と考えて試算してみた。

ちなみに、この時点ではまだ ThinkPad に E495 というモデルがあることを知らなかった。 こちらは、同じシリーズの 14 インチで、E595 よりも重量が 350g ほど軽い。 筐体のサイズ以外には値段もほとんど変わらないので、今ならこちらを選んでいたかもしれない。

kakaku.com

なお、E495 の場合でも使えるパーツの規格は変わらない。 また、パーツの交換に必要な手順も基本的に同じはず。 ただし、背面パネルにはあらかじめ NVMe SSD のヒートシンクが付属しているらしい。

適合するパーツを選ぶ

まず、メモリは DDR4-2400 の SO-DIMM が使える。 なお、DDR4 は基本的に上位互換があるので、似たような値段の DDR4-2666 を選んでも問題ない。 要件を上回る 16GB を買っても、今なら ¥8,000 前後から手に入る。 メモリのスロットは 2 つあるので、デュアルチャネルを活かすために 8GB のモジュールを 2 枚買う。 ちなみに、ThinkPad E595 は最大で合計 32GB までのメモリに対応している。

続いて、ストレージとしてはファームファクタが M.2 2280 の NVMe SSD を選ぶ。 こちらも、要件を上回る 500GB のモデルを買っても、今なら ¥8,000 前後から手に入る。

なお、M.2 タイプの SSD は発熱がはげしいので、ただ読み書きのパフォーマンスが良いモデルを選べば良いわけではない。 ノートパソコンに関しては、デスクトップよりも排熱が問題になりやすい。 今回も、パフォーマンスは抑えめのモデルを選んだ上で、気休めに次のヒートシンクを貼り付けることにした。 ノートパソコンの場合、筐体の余裕から使えるヒートシンクの厚みが限られる点に注意が必要になる。 このヒートシンクであれば、サイドパネルを外すことでかなり薄くなるようだ。

なお、筐体には SATA の 2.5 インチスロットも用意されている。 そのため、読み書きの速度はインターフェイス的にやや落ちる 4 ものの、こちらを選んでも問題ない。

ということで、次の要件を満たしつつ 7.5 万円ほどで買えることがわかった。

  • CPU は 4 コア 8 スレッド (Ryzen 5 3500U)
  • メモリは 16GB
  • ストレージは 500GB の NVMe SSD
  • バンドル版 の Microsoft Office 2019 (Home and Business)
  • ディスプレイの解像度はフル HD

購入した後の手順について

試算にもとづいて、本体とパーツをひととおり購入した。 Lenovo のブランドになってからは、はじめての ThinkPad になる。

ここからは、パーツを交換する手順を見ていこう。

リカバリ用の USB メモリを作る

リカバリ用の USB メモリ (USB リカバリードライブ) を作成する手順は以下のページに記載されている。

pcsupport.lenovo.com

必要な手順は次のとおり。

  1. Lenovo リカバリーページ5 にアクセスしてリカバリーメディアを注文する
  2. Lenovo USB Recovery Creator ツールをダウンロードする
  3. Lenovo USB Recovery Creator ツールを実行する
  4. (1) で注文したリカバリーメディアを選択してUSBリカバリードライブを作成する

上記の手順を実施して、あらかじめリカバリ用の USB メモリを作っておく。 Web には Windows のリカバリメディアを使う方法を試している人もいるけど、こちらの方が完全に製品出荷時の状態にできるので良いと思う。 使う USB メモリは余裕を持って 64GB 以上のものを選んだ方が良いと思う。

パーツを交換する

パーツを交換する前には、あらかじめバッテリーの給電を含めて完全に電源を落としておく。 それには、起動画面で Lenovo のロゴが出ているときに F1 キーを押して BIOS 画面に入る。 Config > Power > Disable built-in buttery を Disabled にして電源を完全に切る。

このモデルは、筐体の開け方にややクセがある。 ドライバーで裏側のネジをすべてゆるめただけでは、底面のパネルが取れない。 サイドにある隙間にヘラなどを差し込んで、固定されているツメをぐるっと一周すべて外す必要がある。 YouTube なんかに、開け方の動画が上がってるので参考にすると良い。

底面パネルを外すと、こんな感じ。

あらかじめインストールされているメモリのモジュールを外して、購入したモジュールを差し込む。 そして、M.2 のスロットには、ヒートシンクを貼り付けた SSD を固定する。 デフォルトの 2.5 インチ HDD は、外すと 100g ほど軽量化になるけど、せっかくなのでそのままにした。

用意した USB メモリを使ってリカバリする

パーツの交換がおわったら、リカバリ用の USB メモリを挿した状態で起動して、また BIOS 画面に入る。 そして、Startup > Boot から起動するデバイスの順序でリカバリ用の USB メモリをもっとも上にした状態で F10 を押下して起動する。 すると、リカバリがはじまるのであとはしばらく待つだけ。

なお、注意点としてストレージの中に OS がインストールされているものが残っているとリカバリがうまくいかない。 そのため、リカバリツールでは思い切って既存のすべてのストレージを消去するオプションを選択する必要がある。 あるいは、パーツを交換する作業で既存のストレージを取り外してしまうのも手だと思う。

つかう

リカバリがおわったら、あとは Windows 10 をセットアップして使う。 なお、気になる人は、UEFI に対応した Memtest86+ を使ってメモリに初期不良がないか確かめておくと良いと思う。

www.memtest.org

はじめに、負荷をかけたときの M.2 SSD の発熱が気になっていたのでベンチマークした結果は次のとおり。 負荷をかけた状態で 50℃ いくかいかないか、負荷をかけない状態なら 38℃ 前後で落ち着いた。

なお、Microsoft Office に関してはリカバリツールではインストールされない。 そのため、Microsoft にアカウントを作ってプロダクトキーを入力してメディアをダウンロードする必要がある。 Microsoft Office のプロダクトキーは、本体の取扱説明書なんかと一緒に入っているので捨てないように注意しよう。

www.office.com

リカバリ直後にインストールされるアプリケーションに関しては、日本のメーカーのように謎のソフトが山のように入る、ということはなかった。 デフォルトでノートンアンチウイルスが入る点は余計と感じたものの、アンインストールしてしまえば問題はない。

Lenovo Vantage という管理ソフトに関しては、なかなかよくできていると感じた。 このソフトを使うと、たとえばバッテリーの充電が自動で中止される閾値を設定できる。 リチウムイオンバッテリーは 50 ~ 75% くらい充電した状態で使うと、もっとも長持ちすると言われている。 反対に 0% や 100% 前後で使っているとバッテリーが劣化する原因になるので、この機能は地味にうれしかった。 また、ハードウェアに固有の部分、BIOS やドライバのアップデートがひとつのソフトウェアで管理できるようになっている。

いじょう。


  1. OS を Windows 10 にして使い続ける、という選択肢もなくはなかったもののの、すでにストレージを SSD に交換するなど延命措置をとった上でバッテリーなどのヘタりもはげしく先が見えていた
  2. メモリを 4GB にして、ストレージから SSD をなくして代わりに 500GB の HDD にする
  3. ThinkPad の公式通販は定期的に値段を上げたり下げたりキャンペーンをよくやるので、現時点 (2020/02/02) ではもう少し高くなる (6.3 万円)
  4. とはいえ、転送速度で 500MB/s と 1500MB/s の違いを体感できるか?というと、おそらく一般的なユースケースでは難しい
  5. https://pcsupport.lenovo.com/jp/ja/lenovorecovery