今回 2023 年秋期のデータベーススペシャリスト試験を受験して合格できた。 後から振り返ることができるように、受験に関する諸々について書き留めておく。
受験のモチベーションとしては、データベースについて漠然とした知識の不足を感じていたため。 試験の勉強を通して、その不足を補いたい気持ちがあった。 また、情報処理安全確保支援士試験とネットワークスペシャリスト試験に合格していたことも影響している。 データベーススペシャリスト試験に合格すれば、午後が記述式の高度試験が全て揃う状況だった 1。
もくじ
試験内容について
データベーススペシャリスト試験の内容は午前 I, II と午後 I, II の 4 つに分かれている。 すべての内容で基準点 (60 / 100 点) を満たせば合格になる。
今回の受験におけるスコアは次のとおり。 午後 I と II が、どちらもギリギリだったことが分かる。
午前 I と II については四択の選択問題で、午後 I と II が記述問題になっている。 午前 I は他のスキルレベル 4 の試験と共通のため、午前 II 以降が試験で独自の問題になる。
午前 I については、別のスキルレベル 4 の試験で基準点以上を取っているか、応用情報技術者試験に合格している場合、2 年以内は申請すれば受験が免除される。 今回のケースでは、2023 年の春期にネットワークスペシャリスト試験に合格していたため、申請して受験が免除された。
勉強方法について
情報処理技術者試験において、午前の選択問題は一定の割合で過去に出題された問題がほとんどそのまま出題される。 そのため、ひたすら過去問を解くだけで対策できる。 今回に関しても、直近の数年分を順番に解いていった。 そして 80% 程度が安定して取れるようになった時点で午前の対策を完了とした。
午後問題も、基本的には過去問を解いて対策した。 なお、データベーススペシャリスト試験の午後問題には、午後 I と午後 II の両方で必ず出題されるジャンルがある。 それが「概念データモデルと関係スキーマ」という問題で、受験者からは「お絵かき問題」という通称で呼ばれることがある。 お絵かき問題と呼ばれる所以は、未完成の状態で与えられる概念データモデルの図に線を書き入れて完成させるため。
そして、過去問を解いていくと、どうやら自分が「お絵かき問題」を苦手としていることが分かってきた。 より具体的には、正解を導くことはできても時間がかかってしまう。 この点は、特に午後 I において問題となった。 なぜなら、午後 I はとにかく時間との戦いになるため。 午後 I は 90 分で大問 3 問から 2 問を選んで解くため、1 問あたり 45 分しか使えない。 分からない部分があっても、時間配分を決めてある程度は見切りをつけていかないと、最終的に全く時間が足りなくなる。
午後の採点において、空欄は確実にゼロ点になるとしても、何かそれっぽいことさえ書いてあれば多少の部分点は期待できる。 そのため、途中までの回答が完璧でも、時間を使い果たして残りの空欄が目立つような事態は避けなければいけない。 午後 II は、1 問あたりの文章量は増えるものの 120 分で大問 2 問から 1 問を選んで解くため、時間の制約は相対的に緩くなる。
直近数年の傾向において「お絵かき問題」は午後 I で 1 問、午後 2 で 1 問が出題されていた。 つまり、いずれにおいても解かずに済ませることは可能だった。 そういった背景から、本番において「お絵かき問題」は選ばないことをあらかじめ決めた。
この選択をするリスクは、スコアが出題内容に大きく依存する点にあった。 なぜなら、お絵かき問題以外には、それほど明確な出題傾向が見られないため。 とはいえ「お絵かき問題」の回答スピードを短期間で上げることは難しいと判断してリスクは受容することにした。 私見ながら、データベーススペシャリスト試験は、他の試験よりも事前に必要とされる知識の量は相対的に少なく感じる。 その代わりに、長文から素早く正解を読み取る力が試される。
なお、受験した 2023 年の秋期試験においては、午後 I でお絵かき問題が問 1 と問 2 の 2 問で出題された。 つまり、そもそもの前提が崩れて午後 I ではお絵かき問題を最低 1 問は選ぶ必要に迫られた。 なお、問 3 に関しては比較的得意とする SQL によるデータ分析を扱う出題だったため、なんとか命拾いした感じだった。
その他の勉強としては、自分の中で理解が足りていない部分などを把握するために以下の書籍を購入して読んだ。 ただ、受験を済ませた上での感想としては、あまり内容が十分とは言えないように思う。 この点は、受験対策という観点と、リレーショナルデータベースを扱う上での知識という観点の、どちらにも当てはまる。
所感について
データベーススペシャリスト試験の出題傾向において、直近ではデータ基盤や SQL によるデータ分析を問う出題が増えている。 この点は、以前よりもアナリスト系の職種が取得を目指しやすくなったかもしれない。 特に、日頃から SQL を業務で使っている場合には、SQL に関する問いはボーナス問題になる 2。
なお、自分自身に関して言えば「データベーススペシャリスト」という名称には実力が全く追いついていないように感じている。 この点は、試験とは別枠で今後も勉強していきたい。