先日、当面の目標にしていた統計検定2級に合格することができた。 今回は、受験に関する諸々について書いてみることにする。
受験のきっかけ
以前から、データ分析や機械学習に興味があった。 そして、それらの書籍を読んだり手法を調べていくうちに、だんだんと統計学に対する興味が湧いてきた。 統計学は、データ分析や機械学習に深い関わりがある。
その後は、初心者向けの統計に関する書籍などを読んで学び始めた。 とはいえ、それだけでは統計が身についているのかがよく分からない状況に陥ってしまう。 そんなとき、統計検定の存在を知った。
ウェブで下調べしたところ、概ね統計検定の 2 級に合格すれば統計の基礎は分かっていると胸を張れるらしい。 現在、統計検定は 1 級 (数理・応用)、準 1 級、2 級、3 級、4 級と五つのレベルに分かれている。 公式では 2 級の試験内容を「大学基礎課程で習得すべきこと」と位置づけている。
その上で出題範囲を見ると、なかなか広いので体系的な知識が得られそうな感じ。 勉強する過程で例題をたくさん解くことになるので身にもつきやすそうだ。 そこで、これをひとまず当面の目標に勉強を進めてみることにした。
以上が、統計検定2級を受験したきっかけ。 ちなみにスタート地点としては「標準偏差ってどう計算するんだっけ?」というレベルだった。 大学は情報系の学科だったものの、統計については全く触れていない。 ちなみに、今は高校の数学でも統計が範囲に入っているらしい。 統計検定でいうと 3 級に対応するかな。
やってきた勉強
次に、合格までにどんな勉強をしたかについて。 念のため、統計検定を意識する以前の内容についても書いておく。
完全独習 統計学入門
まず、統計学を学び始めるとっかかりとして、次の本を読み始めた。
- 作者: 小島寛之
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2013/06/17
- メディア: Kindle版
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上記の本は、統計に関する本を色々と読んだ中でも抜群に分かりやすかった。 本の中に、自身の説明として「これ以上内容を削ると統計ではなくなる」とあるけど、正にという感じ。 最初の一冊としては、ぜひおすすめしたいものになっている。
この本は二部構成になっていて、前半では記述統計を、後半では推測統計を扱っている。 前半の記述統計というのは、データの要約や可視化などを扱うもの。 この本では、基本的な統計量 (平均・分散・標準偏差など) の知識と正規分布について学ぶことができる。 後半の推測統計というのは、標本 (サンプル) を元に母集団を推測するもの。 この本では、ステップバイステップで正規分布・カイ二乗分布・t分布を用いた推定と検定について学ぶことができる。
ちなみに、推定と検定は統計検定2級でも必ず出題される。 その割に分かりやすく解説しているものは少ないので、この本はその意味でも貴重な存在といえる。 基礎的な考え方さえ身につけば、あとはその応用なので別の本も読みやすくなる。
完全独習 ベイズ統計学入門
読んだのはだいぶ後だけど、同じ作者でこの本もおすすめできる。 先ほどの本と何が違うかというと、この本はベイズ推定に焦点を当てた説明になっている。
- 作者: 小島寛之
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/11/20
- メディア: Kindle版
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実は統計学はスタンダードな統計 (ネイマン・ピアソン統計とも呼ばれる) とベイズ統計に分かれている。 先ほどの本はスタンダードな統計を扱っていて、こちらはベイズ統計を扱っているという違い。
統計検定2級では確率の問題でベイズ推定も頻繁に出題されるので、この本は強い味方になる。 確率を面積で計算するテクニックを身につけると問題を解くのに大いに役立つだろう。
統計検定 2級 公式問題集
次は、みんな大好き過去問題集。 この問題を解きながら、分からないところを解説を読みながら調べていくのが勉強の基本だった。
日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[2013〜2015年]
- 作者: 日本統計学会
- 出版社/メーカー: 実務教育出版
- 発売日: 2016/03/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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最初に取り組んだときはあまりに解けなくて絶望したけど、苦手な分野を早めに把握するのが重要。 分からなかったところは、付属している解説を読んだり後述する公式の教科書を参照しながら進めよう。
改訂版 統計検定2級対応 統計学基礎
統計検定2級の教科書的な位置づけの本がこちら。
- 作者: 田中豊,中西寛子,姫野哲人,酒折文武,山本義郎,日本統計学会
- 出版社/メーカー: 東京図書
- 発売日: 2015/12/10
- メディア: 単行本
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ただ、これを頭から読んで勉強していくのはおすすめしない。 なぜなら、ストーリー性が皆無なので順番には読みづらいから。 個人的には辞書として使うのがおすすめ。 分からなかったところをピンポイントに読んで理解の助けにするのが良い。
統計検定3級対応 データの分析
最初に紹介した「完全独習 統計学入門」は素晴らしい本なんだけど、ちょっと残念なところもある。 それは、本のコンセプトからして仕方ないんだけど、推定や検定を説明するまでが最短距離すぎて、色々と省いているところ。 例えば色々な種類のグラフとか、箱ひげ図と五数要約みたいな一般的な話が出てこない。 そういった点では、この本で前提知識をまとめてインプットしておくと良いと思う。
- 作者: 藤井良宜,竹内光悦,後藤智弘,日本統計学会,竹村彰通,岩崎学,美添泰人
- 出版社/メーカー: 東京図書
- 発売日: 2012/07/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 65回
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この本は割りとサクサク読めるので頭から教科書的に使っても大丈夫そうだった。
高校数学の美しい物語
こちらは書籍ではなくウェブサイトだけど、統計に関する記事が豊富にある。 特定のトピックについてよく分からないなーと思ってぐぐると、こちらがヒットする確率が高い。
役に立つ薬の情報~専門薬学 (統計)
こちらも書籍ではなくウェブサイトだけど、ぐぐるとヒットする確率が高い。 特にカイ二乗検定やt検定の説明の分かりやすさはピカイチだと思う。
ブログ執筆
あとは、理解があやふやだったり重要だと思ったところはこのブログで積極的に記事にした。 他の人に説明することは自分が理解していないとできないことなので、解説することは理解につながる。
受験について
統計検定は年に二回、夏と冬に定期的に開催されている。 ただし、2級と3級に関しては CBT 方式の試験も随時受けることができる。
今回合格したのは、上記の CBT 方式の試験だった。 公式サイトにも記述があるけど、受けた後の感想としては問題の難易度は定期試験のそれと変わらない。 だいたい 35 問くらいが出題されて、そのうち 60% (21 問) を正解すれば合格となる。
CBT 方式の試験では、あらかじめテストセンターに予約を入れて、その時間に現地に赴いて受験する。 今回は有楽町にあるオデッセイ公式のテストセンターで受けた。
持参するものは受験票と電卓と身分証だけで、紙とペンは会場で用意してもらえる。 あとはディスプレイに表示される問題を解いて、ひたすら答えをマウスとキーボードで入力していく。
実際に受けた感想としては (他の人はどうか分からないけど) 個人的には試験時間が全然足りなかった。 選択肢から、あらかじめありえないものは枝刈りするなどして時間を節約していくのが重要そう。
受験を終えて
勉強を通して、統計について最低限知っておくべき知識は身につけることができたと思う。 現実世界でも使われている統計の色々な手法について知ることができたのは面白かった。 例えば、選挙の当選確実をどうやって出しているか (母比率の推定) とか、治験の効果の調べ方 (一標本t検定) とか。
とはいえ、あくまで最低限なのは確かで、より専門的な知識をこれから身につけていかないとなという感じ。 これからは、より実務的に使われているデータ分析や機械学習の手法についての勉強にシフトしていこうと思う。
いじょう。
スマートPythonプログラミング: Pythonのより良い書き方を学ぶ
- 作者: もみじあめ
- 発売日: 2016/03/12
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