CUBE SUGAR CONTAINER

技術系のこと書きます。

Python: scikit-learn は v1.4 から Polars をサポートした

scikit-learn に組み込みで用意されている Transformer は、長らく入出力として NumPy 配列にしか対応していなかった。 その状況が変わったのは v1.2 以降で、Pandas の DataFrame を扱えるようになった。

blog.amedama.jp

そして v1.4 からは、ついに Polars の DataFrame もサポートされた。 今回は、実際にその機能を試してみよう。

scikit-learn.org

使った環境は次のとおり。

$ sw_vers    
ProductName:        macOS
ProductVersion:     14.5
BuildVersion:       23F79
$ python -V                      
Python 3.11.9
$ pip list | egrep "(scikit-learn|polars)"
polars        0.20.27
scikit-learn  1.5.0

もくじ

下準備

まずは scikit-learn と Polars をインストールする。

$ pip install scikit-learn polars

インストールできたら、次に Python のインタプリタを起動する。

$ python

続いて、動作確認用のデータを用意する。 今回は Iris データセットにした。 ひとまず NumPy 配列として読み込む。

>>> from sklearn.datasets import load_iris
>>> X, _ = load_iris(as_frame=False, return_X_y=True)
>>> X[:5]
array([[5.1, 3.5, 1.4, 0.2],
       [4.9, 3. , 1.4, 0.2],
       [4.7, 3.2, 1.3, 0.2],
       [4.6, 3.1, 1.5, 0.2],
       [5. , 3.6, 1.4, 0.2]])

続いて、適当な Transformer を用意する。 今回は StandardScaler にした。

>>> from sklearn.preprocessing import StandardScaler
>>> scaler = StandardScaler()

ひとまず、用意した StandardScaler のインスタンスを使ってデータを変換する。 すると、デフォルトでは NumPy 配列として結果が返ってくる。

>>> X_scaled = scaler.fit_transform(X)
>>> X_scaled[:5]
array([[-0.90068117,  1.01900435, -1.34022653, -1.3154443 ],
       [-1.14301691, -0.13197948, -1.34022653, -1.3154443 ],
       [-1.38535265,  0.32841405, -1.39706395, -1.3154443 ],
       [-1.50652052,  0.09821729, -1.2833891 , -1.3154443 ],
       [-1.02184904,  1.24920112, -1.34022653, -1.3154443 ]])

この振る舞いは従来から変わっていない。

出力を Polars の DataFrame にする

それでは、次に出力を Polars の DataFrame にしてみよう。

具体的には、先ほど用意した StandardScaler のインスタンスの set_output() メソッドを呼び出す。 このとき、引数の transform"polars" を指定する。

>>> scaler.set_output(transform="polars")

この状況で、もう一度データを変換してみよう。

>>> X_scaled = scaler.fit_transform(X)

すると、返ってくるのが Polars の DataFrame になる。

>>> type(X_scaled)
<class 'polars.dataframe.frame.DataFrame'>
>>> X_scaled
shape: (150, 4)
┌───────────┬───────────┬───────────┬───────────┐
│ x0        ┆ x1        ┆ x2        ┆ x3        │
│ ---       ┆ ---       ┆ ---       ┆ ---       │
│ f64       ┆ f64       ┆ f64       ┆ f64       │
╞═══════════╪═══════════╪═══════════╪═══════════╡
│ -0.9006811.019004  ┆ -1.340227 ┆ -1.315444 │
│ -1.143017 ┆ -0.131979 ┆ -1.340227 ┆ -1.315444 │
│ -1.3853530.328414  ┆ -1.397064 ┆ -1.315444 │
│ -1.5065210.098217  ┆ -1.283389 ┆ -1.315444 │
│ -1.0218491.249201  ┆ -1.340227 ┆ -1.315444 │
│ …         ┆ …         ┆ …         ┆ …         │
│ 1.038005  ┆ -0.1319790.8195961.448832  │
│ 0.553333  ┆ -1.2829630.7059210.922303  │
│ 0.795669  ┆ -0.1319790.8195961.053935  │
│ 0.4321650.7888080.9332711.448832  │
│ 0.068662  ┆ -0.1319790.7627580.790671  │
└───────────┴───────────┴───────────┴───────────┘

なお、入力が NumPy 配列なので、カラム名は x0, x1, x2, ... という命名規則で自動的に与えられている。

入力として Polars の DataFrame を与えてみる

次は入力として Polars の DataFrame を与えてみるパターンも試しておこう。

NumPy 配列を元にして Polars の DataFrame を作成する。

>>> import polars as pl
>>> col_names = {
...     "sepal_length",
...     "sepal_width",
...     "petal_length",
...     "petal_width",
... }
>>> df = pl.DataFrame(data=X, schema=col_names)

作った DataFrame を StandardScaler のインスタンスに渡す。 すると、結果が先ほどと同じように Polars の DataFrame として得られる。

>>> scaler.fit_transform(df)
shape: (150, 4)
┌──────────────┬─────────────┬──────────────┬─────────────┐
│ sepal_length ┆ petal_width ┆ petal_length ┆ sepal_width │
│ ---          ┆ ---         ┆ ---          ┆ ---         │
│ f64          ┆ f64         ┆ f64          ┆ f64         │
╞══════════════╪═════════════╪══════════════╪═════════════╡
│ -0.9006811.019004    ┆ -1.340227    ┆ -1.315444   │
│ -1.143017    ┆ -0.131979   ┆ -1.340227    ┆ -1.315444   │
│ -1.3853530.328414    ┆ -1.397064    ┆ -1.315444   │
│ -1.5065210.098217    ┆ -1.283389    ┆ -1.315444   │
│ -1.0218491.249201    ┆ -1.340227    ┆ -1.315444   │
│ …            ┆ …           ┆ …            ┆ …           │
│ 1.038005     ┆ -0.1319790.8195961.448832    │
│ 0.553333     ┆ -1.2829630.7059210.922303    │
│ 0.795669     ┆ -0.1319790.8195961.053935    │
│ 0.4321650.7888080.9332711.448832    │
│ 0.068662     ┆ -0.1319790.7627580.790671    │
└──────────────┴─────────────┴──────────────┴─────────────┘

ただし、今回は元の DataFrame にカラム名があるので、それがそのまま使われている。

常に出力を Polars の DataFrame にしたい

ここまでの例は、個別のインスタンスにおいて出力の形式を指定するやり方だった。 一方で、実際に使う場合にはデフォルトの形式を変更したいことは多いはず。

そんなときは sklearn.set_config() 関数が使える。 引数の transform_output"polars" を指定しておけばデフォルトの形式が Polars の DataFrame になる。

>>> from sklearn import set_config
>>> set_config(transform_output="polars")

上記を実行した後で、あらためて StandardScaler のインスタンスを作成しよう。

>>> scaler = StandardScaler()

そしてデータを変換させてみると、今度は最初から Polars の DataFrame が返ってくる。

>>> scaler.fit_transform(X)
shape: (150, 4)
┌───────────┬───────────┬───────────┬───────────┐
│ x0        ┆ x1        ┆ x2        ┆ x3        │
│ ---       ┆ ---       ┆ ---       ┆ ---       │
│ f64       ┆ f64       ┆ f64       ┆ f64       │
╞═══════════╪═══════════╪═══════════╪═══════════╡
│ -0.9006811.019004  ┆ -1.340227 ┆ -1.315444 │
│ -1.143017 ┆ -0.131979 ┆ -1.340227 ┆ -1.315444 │
│ -1.3853530.328414  ┆ -1.397064 ┆ -1.315444 │
│ -1.5065210.098217  ┆ -1.283389 ┆ -1.315444 │
│ -1.0218491.249201  ┆ -1.340227 ┆ -1.315444 │
│ …         ┆ …         ┆ …         ┆ …         │
│ 1.038005  ┆ -0.1319790.8195961.448832  │
│ 0.553333  ┆ -1.2829630.7059210.922303  │
│ 0.795669  ┆ -0.1319790.8195961.053935  │
│ 0.4321650.7888080.9332711.448832  │
│ 0.068662  ┆ -0.1319790.7627580.790671  │
└───────────┴───────────┴───────────┴───────────┘

いいかんじ。

まとめ

scikit-learn は v1.4 以降で Polars と連携させやすくなった。

Ubuntu 24.04 LTS に後から GUI (X Window System) を追加する

Ubuntu をサーバ版でインストールした場合、デスクトップ環境などはデフォルトで入らない。 しかし、後から必要になる場合もある。 そこで、今回は Ubuntu 24.04 LTS に、後から GUI を追加する方法を書く。

なお、この確認は LTS 版のリリースが出る度に実施している。 一部を除いて、やり方は Ubuntu 22.04 LTS と変わらなかった。

使った環境は次のとおり。

$ lsb_release -a
No LSB modules are available.
Distributor ID: Ubuntu
Description:    Ubuntu 24.04 LTS
Release:    24.04
Codename:   noble
$ uname -srm
Linux 6.8.0-31-generic aarch64

もくじ

下準備

あらかじめ APT のパッケージインデックスを最新の状態にしておく。

$ sudo apt-get update

デスクトップ環境をインストールする

デスクトップ環境が必要な場合は ubuntu-desktop パッケージをインストールする。

$ sudo apt-get -y install ubuntu-desktop

依存しているパッケージが多いのでインストールの完了までに時間がかかる。

インストールが終わったらマシンを再起動する。

$ sudo shutdown -r now

すると、自動的にデスクトップ環境が有効な状態で起動する。

Ubuntu 24.04 LTS のデスクトップ環境

X Window System をインストールする

デスクトップ環境は不要で X Window System だけが必要な場合もある。 その際は xserver-xorgxauth をインストールする。

$ sudo apt-get -y install xserver-xorg xauth

必要に応じて SSH クライアントに X11 Forwarding の設定を入れたり、システムにログインし直す。

動作確認のために、追加で x11-apps をインストールする。

$ sudo apt-get -y install x11-apps

xeyes(1) を実行する。

$ xeyes

上手くいけば次のようにアプリケーションが起動するはず。

xeyes(1)

いじょう。

Python: PyTorch で Apple Silicon GPU を使ってみる

PyTorch v1.12 以降では、macOS において Apple Silicon あるいは AMD の GPU を使ったアクセラレーションが可能になっているらしい。 バックエンドの名称は Metal Performance Shaders (MPS) という。 意外と簡単に使えるようなので、今回は手元の Mac で試してみた。

使った環境は次のとおり。 GPU が 19 コアの Apple M2 Pro を積んだ Mac mini を使用している。

$ sw_vers
ProductName:        macOS
ProductVersion:     14.4.1
BuildVersion:       23E224
$ sysctl machdep.cpu.brand_string     
machdep.cpu.brand_string: Apple M2 Pro
$ pip list | grep -i torch
torch                     2.2.1
$ python -V               
Python 3.10.14

もくじ

下準備

あらかじめ、必要なパッケージをインストールする。 特に意識しなくても MPS バックエンドが有効なバイナリが入る。

$ pip install torch tqdm numpy

インストールできたら Python のインタプリタを起動する。

$ python

そして、PyTorch のパッケージをインポートしておく。

>>> import torch

MPS バックエンドを使ってみる

MPS バックエンドが有効かどうかは以下のコードで確認できる。 True が返ってくれば利用できる状態にある。

>>> torch.backends.mps.is_available()
True

使い方は CUDA バックエンドと変わらない。 テンソルやモデルを .to() メソッドで転送するだけ。 このとき、引数に "mps" を指定すれば良い。

>>> x = torch.randn(2, 3, 4).to("mps")
>>> x.shape
torch.Size([2, 3, 4])
>>> x.device
device(type='mps', index=0)

ちゃんと転送できた。

簡単にベンチマークしてみる

続いては、どれくらいパフォーマンスが出るのか気になるので簡単にベンチマークしてみる。 PyTorch のベンチマークのページ 1 を参考に、以下のようなコードを用意した。 いくつかのサイズやスレッド数の組み合わせで、行列の積や和を計算している。

from itertools import product

from tqdm import tqdm
import torch
import torch.utils.benchmark as benchmark


def device():
    """環境毎に利用できるアクセラレータを返す"""
    if torch.backends.mps.is_available():
        # macOS w/ Apple Silicon or AMD GPU
        return "mps"
    if torch.cuda.is_available():
        # NVIDIA GPU
        return "cuda"
    return "cpu"


def batched_dot_mul_sum(a, b):
    """mul -> sum"""
    return a.mul(b).sum(-1)


def batched_dot_bmm(a, b):
    """bmm -> flatten"""
    a = a.reshape(-1, 1, a.shape[-1])
    b = b.reshape(-1, b.shape[-1], 1)
    return torch.bmm(a, b).flatten(-3)


DEVICE = device()
print(f"device: {DEVICE}")


results = []

# 行列サイズ x スレッド数の組み合わせでベンチマークする
sizes = [1, 64, 1024, 10000]
for b, n in tqdm(list(product(sizes, sizes))):
    label = "Batched dot"
    sub_label = f"[{b}, {n}]"
    x = torch.ones((b, n)).to(DEVICE)
    for num_threads in [1, 4, 16, 32]:
        results.append(benchmark.Timer(
            stmt="batched_dot_mul_sum(x, x)",
            setup="from __main__ import batched_dot_mul_sum",
            globals={"x": x},
            num_threads=num_threads,
            label=label,
            sub_label=sub_label,
            description="mul/sum",
        ).blocked_autorange(min_run_time=1))
        results.append(benchmark.Timer(
            stmt="batched_dot_bmm(x, x)",
            setup="from __main__ import batched_dot_bmm",
            globals={"x": x},
            num_threads=num_threads,
            label=label,
            sub_label=sub_label,
            description="bmm",
        ).blocked_autorange(min_run_time=1))

compare = benchmark.Compare(results)
compare.print()

Apple M2 Pro (GPU 19C)

実際に、上記を実行してみよう。 まずは Apple M2 Pro の環境から。

$ python bench.py 
device: mps
100%|███████████████████████████████████████████| 16/16 [02:12<00:00,  8.27s/it]
[-------------- Batched dot --------------]
                      |  mul/sum  |   bmm  
1 threads: --------------------------------
      [1, 1]          |     49.9  |    30.8
      [1, 64]         |     48.7  |    30.1
      [1, 1024]       |     48.8  |    30.0
      [1, 10000]      |     51.5  |    30.1
      [64, 1]         |     50.1  |    30.3
      [64, 64]        |     49.1  |    30.2
      [64, 1024]      |     54.9  |    30.1
      [64, 10000]     |     58.0  |    30.0
      [1024, 1]       |     49.9  |    30.0
      [1024, 64]      |     55.5  |    30.4
      [1024, 1024]    |     54.9  |    30.0
      [1024, 10000]   |    400.2  |    90.0
      [10000, 1]      |     53.7  |    30.5
      [10000, 64]     |     56.0  |    31.0
      [10000, 1024]   |    271.2  |   107.0
      [10000, 10000]  |   6594.7  |    31.2
4 threads: --------------------------------
      [1, 1]          |     52.1  |    31.5
      [1, 64]         |     50.6  |    31.3
      [1, 1024]       |     50.5  |    30.5
      [1, 10000]      |     53.2  |    31.3
      [64, 1]         |     52.7  |    31.3
      [64, 64]        |     51.2  |    30.3
      [64, 1024]      |     56.7  |    30.5
      [64, 10000]     |     59.6  |    30.7
      [1024, 1]       |     51.5  |    30.6
      [1024, 64]      |     56.6  |    30.7
      [1024, 1024]    |     57.1  |    30.7
      [1024, 10000]   |     64.5  |   204.3
      [10000, 1]      |     55.3  |    35.1
      [10000, 64]     |     58.0  |    34.4
      [10000, 1024]   |    590.8  |   223.3
      [10000, 10000]  |  32409.0  |  1498.3
16 threads: -------------------------------
      [1, 1]          |     51.6  |    30.8
      [1, 64]         |     51.1  |    30.4
      [1, 1024]       |     50.6  |    30.4
      [1, 10000]      |     53.7  |    30.7
      [64, 1]         |     51.7  |    30.6
      [64, 64]        |     50.4  |    30.4
      [64, 1024]      |     57.1  |    30.7
      [64, 10000]     |     59.5  |    30.5
      [1024, 1]       |     51.2  |    30.3
      [1024, 64]      |     56.3  |    30.8
      [1024, 1024]    |     57.3  |    31.0
      [1024, 10000]   |     60.3  |   106.8
      [10000, 1]      |     54.9  |    34.9
      [10000, 64]     |     57.2  |    34.5
      [10000, 1024]   |    400.3  |   220.7
      [10000, 10000]  |  32418.2  |  1503.2
32 threads: -------------------------------
      [1, 1]          |     51.1  |    30.6
      [1, 64]         |     50.4  |    30.6
      [1, 1024]       |     50.7  |    30.5
      [1, 10000]      |     53.0  |    30.5
      [64, 1]         |     51.8  |    30.7
      [64, 64]        |     50.4  |    30.2
      [64, 1024]      |     56.7  |    30.6
      [64, 10000]     |     59.3  |    30.5
      [1024, 1]       |     51.3  |    30.6
      [1024, 64]      |     56.6  |    34.5
      [1024, 1024]    |     57.8  |    33.5
      [1024, 10000]   |    447.3  |   202.6
      [10000, 1]      |     54.3  |    35.3
      [10000, 64]     |     57.0  |    34.5
      [10000, 1024]   |    591.2  |   219.7
      [10000, 10000]  |  32443.3  |  1493.3

Times are in microseconds (us).

NVIDIA GeForce RTX 3060

さきほどの結果は、もちろん CPU よりは全然速い。 とはいえ、他の GPU などに比べてどれくらい速いのかイメージしにくい。 そこで、厳密な比較にはならないものの RTX 3060 を積んだ Linux の環境でも実行してみる。

$ lsb_release -a
No LSB modules are available.
Distributor ID: Ubuntu
Description:    Ubuntu 20.04.6 LTS
Release:    20.04
Codename:   focal
$ pip list | grep -i torch
torch                    2.2.2
$ python -V
Python 3.10.14

先ほどのコードを実行する。

$ python bench.py 
device: cuda
100%|███████████████████████████████████████████| 16/16 [03:08<00:00, 11.81s/it]
[-------------- Batched dot --------------]
                      |  mul/sum  |   bmm  
1 threads: --------------------------------
      [1, 1]          |      6.5  |     6.8
      [1, 64]         |      6.5  |     6.8
      [1, 1024]       |      6.4  |     7.8
      [1, 10000]      |      6.3  |     7.8
      [64, 1]         |      6.3  |     6.6
      [64, 64]        |      6.4  |     6.8
      [64, 1024]      |      6.6  |     6.8
      [64, 10000]     |     25.1  |    10.2
      [1024, 1]       |      6.4  |     6.7
      [1024, 64]      |      6.3  |     6.7
      [1024, 1024]    |     40.2  |    15.6
      [1024, 10000]   |    375.3  |   179.1
      [10000, 1]      |      6.3  |    32.6
      [10000, 64]     |     29.2  |    34.9
      [10000, 1024]   |    374.7  |   123.5
      [10000, 10000]  |   3603.7  |  1672.6
4 threads: --------------------------------
      [1, 1]          |      6.5  |     6.9
      [1, 64]         |      6.5  |     6.9
      [1, 1024]       |      6.4  |     7.8
      [1, 10000]      |      6.4  |     7.8
      [64, 1]         |      6.4  |     6.6
      [64, 64]        |      6.5  |     6.8
      [64, 1024]      |      6.6  |     6.9
      [64, 10000]     |     25.1  |    10.2
      [1024, 1]       |      6.3  |     6.7
      [1024, 64]      |      6.4  |     6.7
      [1024, 1024]    |     40.2  |    15.6
      [1024, 10000]   |    375.3  |   179.1
      [10000, 1]      |      6.3  |    32.6
      [10000, 64]     |     29.2  |    34.9
      [10000, 1024]   |    374.9  |   123.5
      [10000, 10000]  |   3602.4  |  1672.5
16 threads: -------------------------------
      [1, 1]          |      6.5  |     6.9
      [1, 64]         |      6.5  |     6.7
      [1, 1024]       |      6.5  |     7.9
      [1, 10000]      |      6.3  |     7.8
      [64, 1]         |      6.3  |     6.6
      [64, 64]        |      6.4  |     6.8
      [64, 1024]      |      6.5  |     6.9
      [64, 10000]     |     25.1  |    10.2
      [1024, 1]       |      6.3  |     6.7
      [1024, 64]      |      6.4  |     6.7
      [1024, 1024]    |     40.3  |    15.6
      [1024, 10000]   |    375.3  |   179.1
      [10000, 1]      |      6.4  |    32.6
      [10000, 64]     |     29.2  |    34.9
      [10000, 1024]   |    374.9  |   123.5
      [10000, 10000]  |   3604.9  |  1672.4
32 threads: -------------------------------
      [1, 1]          |      6.6  |     6.9
      [1, 64]         |      6.4  |     6.8
      [1, 1024]       |      6.5  |     7.9
      [1, 10000]      |      6.4  |     7.8
      [64, 1]         |      6.3  |     6.7
      [64, 64]        |      6.6  |     6.8
      [64, 1024]      |      6.6  |     6.9
      [64, 10000]     |     25.1  |    10.3
      [1024, 1]       |      6.4  |     6.8
      [1024, 64]      |      6.3  |     6.8
      [1024, 1024]    |     40.2  |    15.6
      [1024, 10000]   |    375.1  |   179.2
      [10000, 1]      |      6.4  |    32.6
      [10000, 64]     |     29.2  |    34.9
      [10000, 1024]   |    374.9  |   123.5
      [10000, 10000]  |   3604.6  |  1672.4

Times are in microseconds (us).

こちらの環境の方が多くの場合に 2 ~ 10 倍程度速いことがわかる。 ただし、一部サイズの大きな bmm を使った演算に関しては、むしろ Apple Silicon の方が速いようだ。 また、消費電力は RTX 3060 の方が 20 倍近く大きい 2

まとめ

Apple Silicon の GPU は、そこまで速くないにしてもワットパフォーマンスには優れている。 また、CPU に比べればずっと速いので PyTorch で気軽に使えるのはありがたい。

参考

developer.apple.com

pytorch.org

pytorch.org



  1. https://pytorch.org/tutorials/recipes/recipes/benchmark.html
  2. Apple M2 Pro の GPU は実測で最大 10W 程度、RTX 3060 はカタログで 170W

Windows 11 に Chocolatey をインストールする

Windows の CLI で扱えるパッケージマネージャのひとつに Chocolatey がある。 今回は、そのインストール方法を確認したのでメモ的にまとめておく。

なお、インストール方法に関する公式のドキュメントは以下にある。 インストールに使う手順やコマンドがいつ変更されるとも限らない。 そのため、実際にインストールする場合は下記を確認した上で実施してもらいたい。

chocolatey.org

もくじ

ターミナルを管理者権限で起動する

まずはターミナルのアプリケーションを管理者権限で起動する必要がある。 検索ボックスに「ターミナル」を入力するなどでアプリケーションを見つける。 アプリケーションが見つかったら右クリックで「管理者として実行」を選択する。

ターミナルを管理者権限で起動する

ユーザーアカウント制御の確認ダイアログが出るので「はい」を選択する。

ユーザーアカウント制御の確認ダイアログで「はい」を選択する

すると、以下のようにターミナルが起動する。

起動した管理者権限で動作するターミナル

実行ポリシーを一時的に変更する

Chocolatey のインストールには PowerShell スクリプトを利用する。 ただし、スクリプトを実行するためには、あらかじめ実行ポリシーを Bypass に設定する必要がある。 このとき -Scope オプションに Process を指定することで、現在のプロセスだけに影響を与えるようにする。

実行ポリシーを一時的に変更する

> Set-ExecutionPolicy Bypass -Scope Process

Chocolatey をインストールする

あとは公式ドキュメントにある Chocolatey のインストール用のコマンドを入力するだけ。

Chocholatey をインストールするコマンドを入力する

現在のコマンドは次のとおり。 繰り返しになるけど、コマンドは変更される可能性があるので公式を確認することを忘れずに。

> Set-ExecutionPolicy Bypass -Scope Process -Force; [System.Net.ServicePointManager]::SecurityProtocol = [System.Net.ServicePointManager]::SecurityProtocol -bor 3072; iex ((New-Object System.Net.WebClient).DownloadString('https://community.chocolatey.org/install.ps1'))

動作を確認する

インストールが完了したら choco コマンドが実行できることを確認しておく。

chocoコマンドが利用できることを確認する

試しに何かパッケージをインストールする

あとは choco install コマンドでパッケージをインストールしていくだけ。 インストールの対象によっては、別の依存しているパッケージもインストールされる。

> choco install -y virtualbox

いじょう。

dbt を DuckDB で使う

OLAP (OnLine Analytical Processing) の用途に特化した組み込みの RDBMS に DuckDB がある。 そして、dbt には DuckDB 向けのアダプタがあるので、バックエンドのデータベースとして利用できる。 これは、ローカルのマシンでデータ分析をしたり、dbt の機能を試す際に有益と考えられる。 そこで、今回は環境をセットアップする流れをメモ的に書いておく。

使った環境は次のとおり。

$ sw_vers
ProductName:        macOS
ProductVersion:     14.3.1
BuildVersion:       23D60
$ python -V    
Python 3.11.7
$ dbt -v    
Core:
  - installed: 1.7.8
  - latest:    1.7.8 - Up to date!

Plugins:
  - duckdb: 1.7.2 - Up to date!

もくじ

下準備

まずは DuckDB 向けの dbt アダプタである dbt-duckdb をインストールしておく。 dbt の本体である dbt Core も依存関係として一緒に入る。

$ pip install dbt-duckdb

あとは DuckDB の CLI をインストールしておく。

$ brew install duckdb

プロジェクトをセットアップする

基本的には dbt init を使うことで、対話的にプロジェクトのひな形を作れる。

$ dbt init

ただし、手っ取り早くセットアップしたいときは、以下のように設定ファイルを直接作っても良い。

まず必要なのはプロジェクトの情報を記述した dbt_project.yml という YAML ファイル。

$ cat << 'EOF' > dbt_project.yml 
config-version: 2
name: 'dbt_duckdb_example'
version: '1.0.0'
profile: 'dbt_duckdb_example'
EOF

次に、データベースに接続するためのプロファイルの設定ファイルを用意する。 デフォルトでは $HOME/.dbt/profiles.yml の内容が使われる。

以下では dbt_duckdb_example という名前のプロファイルを定義している。 プロファイルの名前は先ほどの dbt_project.yml で記述した profile と揃える必要がある。 なお、以下のコマンドは既に dbt を使っていてプロファイルの設定ファイルがある場合には上書きされてしまう点に注意すること。

$ mkdir -p ~/.dbt
$ cat << 'EOF' > ~/.dbt/profiles.yml
config:
  send_anonymous_usage_stats: False

dbt_duckdb_example:
  outputs:
    dev:
      type: duckdb
      path: dev.duckdb
  target: dev
EOF

上記で dbt_duckdb_example.outputs.devdev というターゲット (環境)の設定をしている。 ターゲットは開発用、ステージング用、本番用などで複数作れる。 そして dbt_duckdb_example.outputs.dev.typeduckdb を指定することで、データベースへ接続する際のアダプタとして dbt-duckdb が使用される。 dbt_duckdb_example.outputs.dev.path は dbt-duckdb アダプタ固有の設定でデータベースのファイルパスを表す。 dbt_duckdb_example.target はデフォルトで実行するターゲットを指定している。

以上で必要な設定ファイルができた。 続いては dbt debug コマンドを実行してみよう。 このコマンドはデータベースへの接続を確認するためのもの。

$ dbt debug
10:46:05  Running with dbt=1.7.8
10:46:05  dbt version: 1.7.8
10:46:05  python version: 3.11.7
...
10:46:05  Connection:
10:46:05    database: dev
10:46:05    schema: main
10:46:05    path: dev.duckdb
10:46:05    config_options: None
10:46:05    extensions: None
10:46:05    settings: None
10:46:05    external_root: .
10:46:05    use_credential_provider: None
10:46:05    attach: None
10:46:05    filesystems: None
10:46:05    remote: None
10:46:05    plugins: None
10:46:05    disable_transactions: False
10:46:05  Registered adapter: duckdb=1.7.2
10:46:05    Connection test: [OK connection ok]

10:46:05  All checks passed!

問題なくデータベースに接続できればコマンドが正常終了する。

任意の場所にあるプロファイルの設定ファイルを使いたい場合

なお、$HOME/.dbt 以外の場所にあるプロファイルの設定ファイルを使用することもできる。 その場合は dbt コマンドに --profiles-dir オプションを指定すれば良い。

$ cat << 'EOF' > profiles.yml
config:
  send_anonymous_usage_stats: False

dbt_duckdb_exaple:
  outputs:
    dev:
      type: duckdb
      path: dev.duckdb
  target: dev
EOF
$ dbt debug --profiles-dir .

データベースの内容を確認する

dbt debug コマンドを実行すると、ひとまずデータベースのファイルができる。 このときファイル名は、先ほどプロファイルで指定した path に対応する。

$ ls -1                   
dbt_project.yml
dev.duckdb
logs
profiles.yml

DuckDB の CLI を使って接続してみよう。 中身は空っぽではあるものの、ちゃんと利用できることが確認できる。

$ duckdb dev.duckdb         
v0.10.0 20b1486d11
Enter ".help" for usage hints.
D

いじょう。

Network Namespace 内の Linux Bridge で STP が動くようになった

以前、システムが所属している以外の (= 非ルートな) Network Namespace 上では Linux Bridge の STP が動作しない件について書いた。

blog.amedama.jp

月日は流れて、去年の話ではあるけど Linux カーネルに以下のパッチが投稿されて取り込まれたようだ。

lore.kernel.org

つまり、新しいカーネル 1 であれば STP が動作するようになった。 今回は、それを試してみる。

使った環境は次のとおり。 Ubuntu 24.04 LTS の開発版ブランチを利用している。

$ cat /etc/lsb-release 
DISTRIB_ID=Ubuntu
DISTRIB_RELEASE=24.04
DISTRIB_CODENAME=noble
DISTRIB_DESCRIPTION="Ubuntu Noble Numbat (development branch)"
$ uname -srm
Linux 6.6.0-14-generic aarch64
$ ip -V
ip utility, iproute2-6.1.0, libbpf 1.3.0
$ brctl -V
bridge-utils, 1.7

もくじ

下準備

あらかじめ、必要なパッケージをインストールしておく。

$ sudo apt-get -y install iproute2 tcpdump

ネットワークを作る

ここからは、ループしたネットワークを作っていく。

まずは新しく Network Namespace を作成する。

$ sudo ip netns add bridge

Network Namespace に Linux Bridge を作成する。

$ sudo ip netns exec bridge ip link add dev br0 type bridge

続いて veth (Virtual Ethernet Device) のネットワークインターフェースを作成する。

$ sudo ip link add br-veth0 type veth peer name br-veth1

作成したインターフェイスを Network Namespace に所属される。

$ sudo ip link set br-veth0 netns bridge
$ sudo ip link set br-veth1 netns bridge

インターフェイスを使えるように UP に設定する。

$ sudo ip netns exec bridge ip link set br-veth0 up
$ sudo ip netns exec bridge ip link set br-veth1 up

インターフェイスを両方 Linux Bridge につなぐ。 これでループができた。

$ sudo ip netns exec bridge ip link set br-veth0 master br0
$ sudo ip netns exec bridge ip link set br-veth1 master br0

ストームを起こす

まだ肝心の Linux Bridge が DOWN したままなのでストームは起こっていない。

$ sudo ip netns exec bridge ip -s link show br0
2: br0: <BROADCAST,MULTICAST> mtu 1500 qdisc noop state DOWN mode DEFAULT group default qlen 1000
    link/ether 00:00:5e:00:53:01 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    RX:  bytes packets errors dropped  missed   mcast           
             0       0      0       0       0       0 
    TX:  bytes packets errors dropped carrier collsns           
             0       0      0       0       0       0

ここで Linux Bridge を UP に設定してみよう。

$ sudo ip netns exec bridge ip link set br0 up

すると、インターフェイスの統計情報でパケットがどんどん増えていく。

$ sudo ip netns exec bridge ip -s link show br0
2: br0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state UP mode DEFAULT group default qlen 1000
    link/ether 00:00:5e:00:53:01 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    RX:  bytes packets errors dropped  missed   mcast           
     682266792 9739306      0       0       0 9739306 
    TX:  bytes packets errors dropped carrier collsns           
        627472    7296      0       0       0       0

このとき tcpdump(8) するとストームの様子を観察できる。

$ sudo ip netns exec bridge tcpdump -tnl -i br0

STP を有効にする

それでは Linux Bridge の STP を有効にしてみよう。

$ sudo ip netns exec bridge ip link set br0 type bridge stp_state 1

すると、先ほど確認した統計情報の増加がピタッと止まる。

$ sudo ip netns exec bridge ip -s link show br0
2: br0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state UP mode DEFAULT group default qlen 1000
    link/ether 00:00:5e:00:53:01 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    RX:   bytes   packets errors dropped  missed     mcast           
    12533565936 192857688      0       0       0 192857688 
    TX:   bytes   packets errors dropped carrier   collsns           
        8275968     96232      0       0       0         0

どうやら、STP が正常に動作しているようだ。

いじょう。


  1. v5.6 あたりからいけそうな感じ (デフォルトの Ubuntu であれば 22.10 以降が該当する)

Lima で仮想マシンのディスプレイを表示する

Lima 1 の仮想マシンは、デフォルトではディスプレイのない Headless モードで動作する。 とはいえ、作業の都合からディスプレイが欲しくなる場面もある。 そこで、今回は Lima の仮想マシンでディスプレイを表示する方法について書く。

使った環境は次のとおり。

$ sw_vers                                           
ProductName:        macOS
ProductVersion:     14.3.1
BuildVersion:       23D60
$ uname -srm                                   
Darwin 23.3.0 arm64
$ lima --version
limactl version 0.20.1

もくじ

下準備

下準備として Lima と wget をインストールしておく。

$ brew install lima wget

続いて、仮想マシンで利用する OS のイメージファイルをダウンロードしておく。 今回は Ubuntu 22.04 LTS を使った。

$ wget https://cloud-images.ubuntu.com/jammy/current/jammy-server-cloudimg-arm64.img

ディスプレイのある仮想マシンを作る

ダウンロードしたイメージファイルを使って仮想マシンを起動するために Lima の設定ファイルを用意する。 このとき video.display の項目を設定するのがポイント。 デフォルトでは none に設定されるため Headless になる。 ここを default に設定すると、システムで利用できるディスプレイの表示方法を自動で選んでくれる。

$ cat << 'EOF' > jammy.yaml
images:
- location: "jammy-server-cloudimg-arm64.img"
video:
  display: default
EOF

念のため limactl validate コマンドで、設定ファイルの記述を検証しておこう。

$ limactl validate jammy.yaml 
INFO[0000] "jammy.yaml": OK

あとは limactl start コマンドで仮想マシンを起動するだけ。

$ limactl start --tty=false jammy.yaml

すると、次のように仮想マシンのディスプレイが表示される。

Lima で起動した仮想マシンのディスプレイ

めでたしめでたし。